トップ > 外国人の在留・招聘手続全般 > 外国人を日本国内で雇用したいとき
・外国人の採用に当たって
1. 日本の企業が、日本国内で暮らす外国人を雇用・採用する場合
〜以前にも増して、コンプライアンス(法令遵守)が求められています〜
日本の企業が、日本で暮らしている外国人を雇用し、就労させる場合、まず第一に、現在その外国人が持っている 在留資格 (よく『ヴィザ VISA 』と呼び慣らされていますが正しくは『在留資格 Status of Residence 』です)を確認する必要があります。2011年現在、日本の入管法上の在留資格は 27種類 (及び『特別永住者』1952年平和条約関連国籍離脱者。いわゆる在日コリアンの方々)があります。近々この数も変わる可能性がありますが、これら在留資格を 『就労』の観点から見た場合 、大きく3つのグループに分けることが出来ます。
まず、 日本で制限なく就労出来るグループ ですが、「永住者」、「日本人と結婚している人」、「南米日系人」などがあります。これらは身分や地位に基づいて在留活動が認められるもので、日本人同様に『職業選択の自由』が認められているといえます。つまり、このグループの人たちの特徴は、ただ「就労出来る」だけではなく、就労する上で制限を全く受けない(職種を限定されない)ということです。違法で無ければどんな仕事でも、そして自分で会社や店を経営することも可能なため、多くの外国人がこのグループのヴィザを欲しがっています。
次に、 基本的に就労が認められていない在留資格グループ ですが、「留学」、「就学」、「家族滞在」、「文化活動」、「短期滞在」などがあります。具体的には、大学生や大学院生、専門学校生などの留学生、日本語学校の学生、就労ヴィザを持つ外国人の家族として日本在留を認められている人たち、観光客や会議参加のために日本へ短期で来ている人たち(短期滞在者)などが該当します。
このうち、留学生や就学生、家族滞在者などは、『資格外活動許可』という許可を入管から得ることにより、一定期間、一定の時間数でアルバイトをすることが出来ます(但し風俗営業関連などでのアルバイトは固く禁じられています)。
そして最後のグループは、 就労が認められるものの、その活動が細かく特定・制限されている在留資格 のグループで、いわゆる『就労VISA』『ワーキング・ビザ』などと呼ばれるものの集まりです( 就労ビザについては、別項で詳しく解説しております )。
例えば、留学生が卒業後 企業に就職して働く場合、在留資格『留学』のままでは正式に働くことは許されず、その地域を管轄する入国管理局に対し、 在留資格変更許可申請をして就労可能な在留資格への変更をする必要 があります。そしてその際、外国人ご本人の学歴や職歴、雇用する企業の職種・雇用理由・職務内容等を鑑み、『当該外国人がその企業内において当該業務を行うに相応しいこと』を入国管理局より認められ、業務内容に合った『在留資格』(多くの場合、『人文知識・国際業務』か『技術』)を許可されなければなりません。
尚、採用後も外国人雇用状況届出、外国人登録の内容変更等、転職してきた場合は更に就労資格証明書なども必要となる場合が多く、入管法改正による厳罰化やコンプライアンスの観点からも、これらの諸手続は重要です。
2. 日本の企業が、海外で暮らす外国人を雇用・採用する場合
企業が海外から技術者等を招聘する場合、通常は様々な資料を通じて申請書類を完成させ、管轄の入国管理局に対し 在留資格認定証明書交付申請 を行う必要がございます( 手続の流れについてはこちらをご参照ください )。
日本は海外からの単純労働者受入れを原則認めてはおらず、外国人の採用については「学歴」「職歴」「職務内容」など様々なハードルを設けています。従って、特に海外からの外国人労働者の大規模受入れなど、決して『簡単』なことではなく、「高度な職能者が限られて入国を認められている」のが現状です。
今まで、多くの企業の皆さまから、この、「規制」についての疑問を投げ掛けられました。「日本人がやりたがない仕事・単純労働が沢山有るのに、何故認められないのか?」といったご質問も多くございました。
私が思うに、入国管理局の仕事は外国人を管理するのみでなく、国内日本人(や永住者)の『職』を守っているという側面もございます。無制限な外国人労働者の流入は、賃金格差が大きければ大きいほど、その国の国民生活に大きな打撃を与えかねません。企業が『経済の論理』に従って行動すれば、当然、少しでも賃金を抑えてということになるでしょう。政府はそのために、入管法や在留資格制度、最低賃金法などをもって、この動きを牽制しているのだと考えます。そしてこれは、他の先進諸国も当然に取っている入管政策であり、必要なことだと私は考えております。
このような現状の下、海外から外国人労働者(技術者、貿易・海外業務員、転勤者等)を招くには、該当労働者個人の要件、契約内容や職務内容など、一定のハードルをクリアする必要があります。