こんなときどうする?


期間の定めのある契約について(有期雇用契約)


契約社員をはじめ、派遣労働者、パートタイマー、アルバイト等で雇う人を一般に「有期契約労働者」といい、その労働契約を「有期労働契約」と呼びます。有期労働契約とは、「期間を定めて締結された労働契約」のことです。
 昨今の経済環境の急激な変化により、こうした会社と有期契約労働者との間でのトラブルが多く発生しています。ここでは有期労働契約について述べます。

 

1.有期の契約を締結する際の留意点

1)まず、募集する場合、契約期間をどれくらいにするかをはっきりさせてください。書面であったり、電子メールで明示することが望ましいです。

2)契約を締結する際には、契約の期間を書面でもって明らかにし、交付してください。

3)また、契約の締結の際に、更新をするかどうかを明示する必要があります。たとえば、

a. 自動的に更新する

b. 更新する場合があり得る

c. 契約の更新はしない

などが考えられます。

4)更新をするとお考えの場合は、更新する際の判断基準を明示してください。たとえば、

a. 契約期間満了時の業務量によって判断する

b. その人の勤務成績や態度により判断する

c. その人の業務の遂行する能力により判断する

d. 会社の経営状況により判断する

e. 従事している業務の進捗状況により判断する

などといったものが考えられます。

5)契約の締結により労働関係が成立しますが、就業規則等(あるならば、たとえばパートタイマー就業規則などその人が該当する規則)を知らしめておいてください。また、お互いの契約および条件等の理解のために、できる限り書面でもって確認しあうことが望ましいです(こうしたことが後々のトラブル回避につながります)。

6)契約期間を必要以上に短い期間にし、それを反復して更新することのないように配慮するよう労働契約法第17条に定められています。以前、契約期間を3ヶ月にし、雇用保険に加入せず、更新を続けている会社の例がありましたが、契約法に反しますし、社員のモチベーションにも影響します。

 

2.有期契約を終了する際の留意点

1)有期の労働契約については、やむをえない事由がない限り、その契約期間が満了するまでの間に、有期契約の労働者を解雇することは認められないのでご注意ください(労働契約法第17条)。

なお、「やむを得ない事由」とは、会社が倒産したとか天変地異で事業所の操業が不能になったなどが考えられます。「やむを得ない事由」かどうかは、使用者側に立証する責任があります。

もしその「やむを得ない事由」を招いた原因が使用者にあるときは、残った契約期間分の賃金相当額を損害賠償として支払う義務が発生する場合もあります。

2)契約期間を更新しない場合(雇止め、といいます)、以下の有期労働契約者に対しては、少なくとも契約の期間が満了する30日前までに、その予告をする必要があります。

・有期労働契約が3回以上更新されている有期契約労働者に対して

1年以下の契約期間の契約が更新、反復更新され、最初に契約を締結してから継続して通算1年を超える有期契約労働者に対して

1年を超える契約期間の契約を締結している有期契約労働者に対して

3)上記2)の有期労働契約者に対して雇止めをする際、その理由を示す証明書を請求された場合は、契約期間が満了した、ということとは別の理由が必要です。たとえば、

・前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されたため

・契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限にかかわるものであるため

・担当していた業務が終了・中止したため

・業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため

・職務命令に対する違反行為を行ったため、無断欠勤をした等勤務不良のため

といった理由が考えられます。

4)雇止めを行おうとする場合でも、対象となる労働者が長期間に渡って働いていたり、契約更新が形式的に繰り返されているとすると、正社員の場合と同様の扱いとなることがあります。その場合、「解雇権濫用法理」が適用され、雇止めが無効とされる可能性があります(労働契約法第16条)。

なお、有期労働契約の締結に際し、その期間は一定のものを除き上限を3年と定めています(労働基準法第14条)。

お問い合わせ:052−561−8877