知っておきたい 国際結婚の手続と知識
〜行政書士から見た 最近の国際結婚を取り巻く事情〜
偽装国際結婚の影響について   跛行婚のリスクについて   諸外国に比べ厳格な 日本の戸籍制度
イスラム諸国の人たちとの婚姻について   現地の日本大使館・領事館の活用   国際結婚関連リンク集
 
 私は、仕事柄多くのカップルの国際結婚を見て来ました。国籍、性別・年齢の組合わせ、初婚か再婚か、結婚後の居住国、連れ子がいるか、パートナーが日本における在留資格を持っているか(不法滞在・不法残留であるかないか)など、様々な形の国際結婚です。

 当初、ここでは国際結婚の手続につき、国別に解説するつもりでした。しかし手続そのものについては、既に素晴らしい解説のあるホームページ(多くは、国際結婚された方々の開いているHPです)が沢山有り、リンクを貼らせて頂ければ充分、ここでは最小限に留めよう と判断致しました。ここでは私が、行政書士として出来るアドバイスを、可能な限りしていきたいと思います。『可能な限り』とする意味については、後述します。



〜偽装国際結婚の急増とその影響について〜 迷惑な偽装結婚の影響

 近年、国際結婚につき、ある特定の国・地域の方との国際結婚、またカップルの組合せ(年齢差や職業等)によって入国管理局の審査が厳しくなっているのは、多くの方々が認めているところです。そしてこれは、配偶者の呼び寄せ、他の在留資格からの変更、また不法滞在してしまっているパートナーの在留特別許可嘆願 いずれにもいえることです。まず、「申請したが不許可(不交付)になった」や「審査がいつまで経っても終わらない」と苛立ちを覚えるカップルに、お伝えしたいことがあります。

 私がこの仕事を始めて間もない頃、「花嫁を日本に呼び寄せるため、自分で在留資格認定証明書交付申請を行ったが不交付となった」ということで私の事務所へ来られた方が何人かいらっしゃいました。中には、どうしてこのご夫婦(*) の申請が認められなかったんだろう…? と 私自身、入国管理局の審査基準・対応を疑いたくなるような場面もありました。この傾向は年々顕著になり、最近はある特定の地域(省)のフィアンセについては、 絶望的 とでもいえるほど厳しくなって来たりしています。
 *(通常、パートナーの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)時には既に婚姻・入籍済みのため、『夫婦』と書かせて頂きます)

 何故、このような 本来問題が無いようなご夫婦の申請まで難しくなってしまったかについては、理由があります。それは、偽装結婚が急増していたから で、残念ながら今では私も、入国管理局審査官が厳しく(疑って)見ざるを得ない という事情がわかります。偽装結婚の様々なケースについても沢山聞きましたし、「偽装結婚していたんだけど、本当に好きな日本人が出来たのでその人と再婚したい」とか、そういう話はいくらでもあるようです。また、ある特定の国、特定の地域・省 などで、偽装国際結婚が多い というのも残念ながら事実のようです。

 その結果、本当に愛し合っている、何らやましいところが無いカップルまでもが、入管が “問題が多い”と判断するケースに近い場合、あらぬ疑いをかけられることになります。そうした場合、不本意とは思いますが “かけられた疑い” をひとつひとつ剥がしていく必要があります。
 入管審査官は一人あたり膨大な仕事量を受け持っており(*) 、どうしても事務的に処理していかざるを得ません。 また、疑わしきは=「入れない」 という姿勢でいかないと、『入国管理』の意味が無くなってしまいます。
 *(実際、入管や法務局では、慢性的な人手不足が続いているようです。入管の後に市役所や県庁へ行ったときなど、「どうしてここの余ってる人間を廻してあげないんだろう…?(^^;」なんて思ってしまいます)

 本当の国際結婚をしている方々にしてみれば、偽装国際結婚ほど迷惑なものはありません
「入管の対応には頭に来る」といった話をよく聞きますが、厳しい審査も長い目で見れば自分たちのため とお考え下さい。入管は意味も無く意地悪をしている訳でもなければ、素敵な奥様・旦那様を得たあなたにやきもちを焼いている訳でもありません。ただただ、真正な結婚である という確証が得られないだけなのです。粘り強く、結婚が真性であることをアピールしていく道を、お勧めいたします。

 ここで、“可能な限り”のアドバイス とした訳について触れます。ネット上で どういう証明を出していけば真正な結婚と認められるか などというアドバイスをすることは、偽装結婚を間接的に手助けすることにも成りかねない からです(メールでのお問合せにも、お答え出来ません。また、どのみちこの分野に関しては『入国管理局とブローカーのいたちごっこ』のようなところがあるらしく、私の持っている最新情報(^^; なども、すぐに古くなってしまうようです)。
 私たち行政書士には、ブローカーからの接触が度々あるようです。私のところにも、どこで聞いてくるのか それらしき人物からの相談・手続依頼の電話が何回かありました(大体、“番号非通知”で携帯にかかって来ます。当然、お断わりしてますが)。

 こうした、審査が滞っている場合の手続につき 簡単にいえば、夫婦ふたりしか知らない、他人の踏み込めない領域のもの、プライバシーに関するものまで全てさらけ出す必要がある と言えます。無論、通常の審査だけで、問題も無く 入国・在留 を認められるご夫婦の方が圧倒的に多いのですから、特別疑われていないのなら、そこまでやる必要も無いと思いますが…。


 また、手続上入管から「嫌なことを言われた」というケースには、偽装結婚とは無縁のものもあります。「入国後もなかなか3年の在留期間を許可してくれない」といったケース等です。
 出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)上の在留資格『日本人の配偶者等』が外国人に付与される場合、その取得や更新時に審査されるのは結婚の信憑性、安定性、継続性といえます。つまり、偽装結婚でなくても、入管から「この結婚は長く続かないだろう」と判断されてしまえば、たとえそれまでの婚姻期間が長くても毎年更新をしていかなければならないことになります(勿論、入管職員が「あなたたちの結婚は長続きしそうにないから…」なんてことは絶対に言いませんが)。

 在留資格『日本人の配偶者等』を付与される外国人には、他に日系の外国人(日系2世)や日本人の実子(及び特別養子)がいますが、この方たちについては既に生まれたとき あるいは幼少時(特別養子は6歳未満)に資格該当要件が確定しており、身分上の“安定性”などというものは関係ありません。しかし国際結婚により『日本人の配偶者等』を付与されている外国人は、結婚が破綻すれば(離婚していなくても)資格該当性を失うことになります(*)。つまり、“安定した結婚”であることが必要なのです。
 *(他の在留資格に変更し、日本に在留し続けることが可能な場合もあります)

 また、外国人ご本人やパートナーが犯罪に関わったときなども、3年の期間が許可されなかったり、3年だった在留期間が1年に短縮されてしまう場合もあるようです。




〜跛行婚(はこうこん)のリスクについて〜 婚姻手続は双方の国(在外公館を含む)で! 

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中国各地の旅行記も面白いです。掲示板・MLも賑やかです。
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