国籍法要件と申請実務 在日コリアンとは? 帰化後の氏名について |
帰化申請 について思うこと 〜在日韓国・朝鮮(特別永住者)の方々の帰化申請をお手伝いしていて〜 |
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ここでは、主として在日韓国、在日朝鮮の方々(特別永住者)の帰化申請について、私が思ったことを書かせて頂きます。
帰化申請は、国籍を取得するという性質上申請者ご本人の意思確認が大切になっており、また手続上も、本来ご自身で管轄法務局へ行き、申請されるべきものだと思います(法務省サイト内 法務局・地方法務局所在地一覧)。しかし、帰化手続は大変繁雑であり、多くの時間と労力を要し、慣れない戸籍収集(註:『戸籍』という、“ご本人が本国にいなくても建前上消滅せず、現在の身分事項を証明する書類”が存在するのは、世界でも日本、韓国、台湾ぐらいのものです)、証明書類他の書類集めや書類作成、手続で、ご自身で始められたものの途中で頓挫してしまう ということも少なくありません。身分関係の書類以外でも、帰化は申請者の方の仕事や経歴によって、集める書類や難易度に違いが出て来ます。また、帰化は総合判断となるため、一概にこの書類が取れないからダメとか、年数を満たしていないからダメとか、交通違反があるからダメとかいうものではありません(もちろん、違反等はいい材料ではありませんが…)。
当事務所、また多くの行政書士事務所では、忙しく不慣れな申請希望者の方々に代わり、書類収集、作成、などを行い、法務局出頭にも随行し、法務局国籍課との折衝を進め、申請者の方々の負担を最小限にすべく努力しております。また、帰化は法務局への申請になるため、お近くの司法書士さんへ依頼することも可能です(註:しかし、多くの行政書士事務所は許認可申請を。司法書士事務所は不動産登記・商業登記を主たる業務としているため、「外国の戸籍など見たことも無い」と言う方も多くおります。その点 どこへ依頼するか については充分ご注意ください)。
いずれにせよ、前述のとおり帰化は代理になじまない部分もあるため、ご本人自ら行動することも大切です。“お金を出して、あとはどこかの事務所にお任せ”という訳にはいかないものだ ということを、ご理解ください。「お金を出してくれれば、後はなにもしなくてもいいですよ」などといい、ヒヤリングもろくにしないような事務所は、申請者個人・ご家族のデータ等についてもでたらめを書くかもしれず、その点、申請時・申請受理後にトラブルになるかも知れません。実際、申請受理後2〜4ヵ月程度で、法務局にて『面接』がありますが、その際に申請書類との食い違いを指摘される といったこともあるようです。
中には、法務局は怖いから、一度も行かないで済む方法はある?などと言われる方もいらっしゃいます。私はいつも、「帰化の許可を頂けるまで、一緒に頑張りましょう」と言っています(負担を最小限にすることは出来ますが、本人出頭は大原則です。完全な業者任せ は有り得ないのです)。
以下の話は、特に在日の方々の手続の際に思ったことです。一度でもご自身で、またはどなたかと一緒に帰化申請手続をされた方でないと ピンと来ないかもしれませんし、法務局の地域差もかなりありますが…。
帰化申請を経験された(途中で諦めた方も含めて)多くの在日の方々から聞き、自分自身も思ったことですが、法務局職員(帰化相談員)の中には、信じられないほど侮蔑的な行為・振る舞い、また書類上の理不尽で難しい要求などで、帰化申請希望者の方々の意欲を殺いでしまうような人物 もおります。こうした人物に“運悪く当たってしまった”方たちが、一様に「バカにされたような気持ちがして、手続を進めるのが嫌になった」などと言っていることは、明らかにそうした人物が、人の人生を変えてしまっている ということだと思います。
法務局国籍課の係員(相談員)は複数人いて、大抵、定年退職後の元法務局職員(嘱託)の方がなられています。昔はともかく、今や大多数の相談員の方々は親切な方ばかりで(註:多くの在日韓国人依頼者の方々から伺いましたが、昔の法務局の対応はひどかったようです)、多くは在日韓国・朝鮮籍の方々の心情を察し、親切に指導してくださる方ばかりなのですが、中には、大した権限も無いくせに個人的な好き嫌いで人の人生を左右したがるような人物もいます。この仕事を始めて、そうした、法務局担当者の人的要素で帰化手続を挫折した という人の多いことに、とても驚きました。繰り返しになりますが、昔の法務局はもっとひどかったそうです。
私たちがよく行く名古屋法務局本局にも、現在、“何人(何十人)もの在日の方々に帰化申請を諦めさせた”、本当に嫌なオヤジが一人だけおります(一人だけ生き残っている… といってもいいかも知れません)。
以前にも、申請者ご本人に対する あまりにも失礼な振る舞い+重箱の隅をつつくような言動 にとうとう頭に来て、「違う担当者にしてくれ」 と国籍課に掛け合い、別の国籍課職員に交替してもらい15分で受理してもらった(⇒要するに問題の無いケースだったのです)ということがありました。無論、法務局の帰化担当者も人の子であり、細かく突っ込んで来る人などもいて個人差がありますが、それは単に職務に忠実なだけであり、そうした『細かい指導をする几帳面な担当者』とは違う次元の人物の話をしています。(註)ただ単に、『職務に忠実で細かい帰化相談担当者』と、『偏屈で差別的な発想を持ったオヤジ』とは違います。この点きちんと区別してください。「何人担当者が変わっても、こちらの言い分を聞いてくれない」「帰化相談員全員から、無理難題を押し付けられる」などとお考えの方は、むしろご自身、ご自身の書類の方に問題があるのかも知れません。
ちなみに、帰化する ということについて、ご本人たちにはなかなか複雑な 帰化・日本国籍への思いがあるようです。2世3世の方たちなど、日本で生まれ育ってるのに国籍が無いのですから、当然といえば当然ですね。
私自身は、かつては在日の依頼者の方々に、「永住権もあるし韓国で働くチャンスなどもあるし、老後は向こうで住むかも知れないし、わざわざ帰化しなくてもいいじゃないですか」などと言ってしまうくらい、在日の方々の『帰化申請』には疑問を感じて(というより、どちらでもいいと思って)おりました。事実、ソウルで働いている在日韓国人の友人もいますが、在日の人たちにはそういうチャンスがあって羨ましい…と、前々から思っておりました。
しかし、帰化申請をお手伝いするとき、『帰化の動機書』原案作成のため 必ずご本人から「帰化したい動機」を伺っておりましたが、その際 多くの在日の方々から、長い間受けて来た、日本社会に残る職業上の差別や結婚するときに感じる差別のお話などを伺い、以来、「国籍なんてどっちでもいいじゃないですか」などという不謹慎なことは言えなくなってしまいました。事務所を手伝ってくれている妻も、ここでは書けないような昔の苦労話・ひどい話を聞き(特に40代以上の在日の方からの)、よくもらい泣きしています。そして、「その思いを、上記のような一人か二人の偏見オヤジのために邪魔されては…」と、思うようになりました。(註:特別永住者の方々の『帰化の動機書』提出義務は、2003年7月より廃止されました。その他の在留資格の方々で15歳以上の場合、これまで通り提出義務があります)
しかし、残念ながらこうしたオヤジは、各法務局に一人ぐらいはいるようです。典型的な昔ながらの役人タイプで、現役の局員時代も大した出世をせず、部下の結婚式でも絶対仲人とか頼まれなかったようなタイプ とでも言えば、わかりやすいかと思います。
長い間 私は、「依頼者のためにも徹底服従するしかない」と思っておりました(註:自分自身の申請ならケンカしますけど…(^^;)。 失礼で侮蔑的な振る舞いに落胆する申請者の方々に、「帰化はご本人の帰化したいという“意思”が一番重要です。それを試されている とお考えください」 などと言い、励ますように努めて参りました。
しかし、大多数の職員が「これでいい」と言っているような書類内容につき、偏屈なオヤジ一人が「ここがおかしい。あれはどうなってる。あれを持って来い。これも持って来い」と言い、おまけに侮蔑的・差別的な発言で申請者の方々の意欲を殺ぎ、その結果申請が頓挫してしまう などというのは、どう考えてもおかしい…と考えるようになりました。
こんなときは、お近くの行政評価局(下記参照)へ駆け込むことをお勧めします。具体的に、どんな差別的・侮蔑的なことを言われたのか、どんな言動でもって不快と感じたのか、担当者の名前(これについては法務局はまず教えてくれませんが、担当者の特徴など)、日時等 なるべく細かく記して、その担当者が職務の適性を持たないことを指摘する文書を送付または報告してください。在日の方々も、日本で税金を納めておられるのです。ご自身に非が無いと思うのなら、泣き寝入りすることなく、多くのデータを『行政評価局』へ上げることを考えてください。同様の苦情が集まれば、行政も当然、動かざるを得ません。その際、文書には具体的な改善方法とその改善の時期および改善状況を期限付きで報告してもらうように書くのが効果的です。更に、こうした苦情の申し立てが正当なものであり、申し立てによって不利益な処分がなされないように付記することも重要です。 同様の苦情が2件以上あり、他の監督庁から連絡があれば、その担当者の上司は監督責任を問われることとなり、改善が期待出来ます。
私は、行政書士として帰化手続の際、上記のような偏見のある相談員はどんどん他の法務局職員の方に変えてもらっています。そうした場合でも後日問題なく受理され、帰化の許可も頂けています。密室の中で耐え、何の権限も無い偏見オヤジのために泣き寝入りすることなど無いのです。
以前、あるボランティア団体の方から、「同和問題といい、帰化者の記載方法といい、日本の戸籍制度は長く差別の温床になって来た。それを司って来たような役人に、そういう人間が多いのは当然なんですよ」という話を聞いたことがあります。法務局には、「人権・同和問題解決」「差別を無くそう!」といったポスターがよく貼ってありますが、そこにこういう反人権的な態度を取る人間がいるのには、本当に驚きです。法務局も今は 若い人を中心に親切な方が多く、いずれこうした古い考えの人はいなくなるでしょう。でももう少し、時間がかかりそうです。
【参照】 総務省行政相談 苦情の相談を通じて国民の声を行政に
総務省の行政相談は、国の行政に関する苦情その他相談や意見・要望を受け付け、相談者と関係行政機関の間に立って、公正・中立の立場から必要なあっせんを行い、その解決や実現の促進を図るとともに、それを通じて行政の制度及び運営の改善に反映させているもので、次のような特色があります。
苦情等を受け付ける範囲は、各府省、独立行政法人、特殊法人及び認可法人(注)の業務や地方公共団体の業務のうち法定受託事務に該当するもの及び補助を受けているものであり、国の行政全般に及んでいる。管区局・事務所、行政相談委員による全国ネットワークを活用し、簡易・迅速な受付・処理が可能 同種類似の苦情の発生が予測されるものや、その解決に制度改正等を必要とするものについては、民間有識者で構成される行政苦情救済推進会議への付議や行政評価・監視を実施
(注)認可法人:国の出資比率が1/2以上、かつ、国の補助に係る業務を行うものに限る。
【行政相談の受付窓口】
管区行政評価局・行政評価事務所の行政相談課−全国の都道府県庁所在地に設置(苦情受付専用電話「行政苦情110番」やインターネットによる行政相談の受付もあります。)
中部管区行政評価局
460-0001名古屋市中区三の丸2-5-1名古屋合同庁舎第2号館 (代)052(972)7411(FAX)052(972)7419 052(962)1100
総務省行政評価局のホームページ・アドレス http://www.soumu.go.jp/
全国の行政評価局・支局・事務所の一覧表があります。
以 上
【註】当事務所では、愛知県を中心に東海地区にて帰化申請手続・渉外戸籍整理手続、韓国戸籍他 外国証明書類の翻訳等を行っております。 尚、当事務所では帰化申請手続において責任をもってサポートしたいため、現在 愛知県、岐阜県、三重県内の方に限らせて頂いております。郵送や電話、メールのみでのお仕事は、致しておりませんのでご了承ください。
遠方・他府県の申請希望者の方々には、各地の経験ある帰化申請対応行政書士事務所をご紹介しております。紹介マージンを取ろう などというセコイ考えは持っておりませんので、お気軽にお問合せください(その代わり、「大至急紹介して!」というのもご勘弁下さい)。
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